コノハナサクヤビメ

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コノハナサクヤビメ(木花佐久夜毘売)は富士山や桜と関係が深く、『古事記』には夫であるニニギノミコト(邇邇芸命)との出会いから出産まで様々なエピソードが残っています。

 

富士山頂にある浅間神社の主神であり、天孫ニニギの妻であるサクヤヒメ。

彼女は何故桜に例えられているのでしょうか?

 

 

 神話に著されたサクヤヒメの属性を見れば、彼女はニニギに一目惚れされる程、「美しさ」を持っていたこと、一生の大転期である結婚の相手を決める時にも父に委せる「謙虚さ・つつしみ深さ」を兼ねていたこと、一夜の目合いで子を宿す「生命力」を持っていたこと、夫に「栄華」をもたらす不思議な力があったこと、それでいて、姉との対比では、寿命を短くしてしまう「弱さ・あわれさ」があったこと、そして、一度自身が疑いをかけられた時には「凛として立ち向かう強さ」を備えた「女性」であったことが読み取れる。これら、特性は桜の花の特色にぴたりと一致している。

 花は、どんな花でも美しさを放っている。

けれども、どの花が一番かと尋ねると、国により民族により異なった答えが返ってくる。桜を張るの花の第一番にするのは日本人だけだ。

 

(中略)

 

日本人の古い先祖達は、花吹雪に究極の美を感じると共に、その命のはかなさを見たのではないでしょうか。

 私達日本人は、眼前に見える対象事物が、美しければ美しい程、その美しさが変化することを想定して悲しみの感情を覚える事がある。更に、その目の前の事物と心が通じ合えば、悲しみもより一層大きなものになってゆく。

(一般財団法人 22世紀吉野桜を愛でる会制作・発行『千の桜』特別寄稿「桜への思いを綴る【吉野の桜 その十】」より引用)

 

そして、「我が国を特色づける富士山と桜の双方にサクヤヒメは関わっているのです。」と続きます。

さらに息子の山幸彦と海幸彦のエピソードは浦島太郎の原型とも言われています。

日本の象徴ともいえる富士山と桜だけでなく日本人の感受性にも繋がっていて、とても重要な神様です。

 

また、上記引用文には「姉との対比では、寿命を短くしてしまう「弱さ・あわれさ」があった」とありますが、これはニニギとの結婚の際に姉のイワナガヒメと妹のサクヤヒメの2人で嫁いだのにイワナガヒメは美人でなかったため送り返された。

そして長寿の力を持つイワナガヒメを返し栄華の力を持つサクヤヒメのみ娶ったので、人間は寿命が短くなったというエピソードを指しています。

このように石と他のものを選ばせて寿命の短命が決まる物語は「バナナ型神話」と呼ばれていて、東南アジアやニューギニアを中心に様々な神話が語り伝えられてきました。

日本の神話はギリシャ神話に似ていると言われていますが、同じアジア圏で似たような話があるのはおもしろいですよね

 

 

最後に吉野山にある勝手神社はサクヤヒメを祀っていましたが、不審火により焼失してしまいました。

現在御神体は近くの吉水神社に仮遷座しており、勝手神社の御朱印もいただけるそうです。

吉野にいらっしゃった際には是非お立ち寄りください。

 

 

参考・引用 『千の桜』特別寄稿「桜への思いを綴る【吉野の桜 その十】」 一般財団法人22世紀吉野桜を愛でる会制作・発行

 

 

 

 

 

  • 2019.08.30

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